ファーストアルバムとなる「Universe for Surround」 がハイレゾ&サラウンドで二月中旬よりリリース

HGM2004 "Universe for surround" 土屋洋一

 

作曲家 土屋 洋一のファーストアルバムとなる「Universe for Surround」 が

ハイレゾリューション & サラウンドでe-onkyo musicから二月中旬より リリース。

録音は 深町純 ラスト・レコーディング「黎明」 の第20回(2013年度)

日本プロ音楽録音賞 受賞エンジニア=Mick沢口氏。

 

~ブックレットより ~

響きと対話する……それがサラウンドの醍醐味   長谷川教通

 このアルバムを、私は繰り返し聴いている。回を重ねるごとに弦楽四重奏によるサラウンドの響きが身体に深く染み込んでくる。サラウンドといっても、音が飛び交ったり激しく移動したり、そんな派手な演出とは無縁の世界。繊細で透けるような響きが空間に漂い、さまざまな表情で聴き手に語りかけてくる。土屋洋一さんの創り出す旋律はとても感受性が豊かで、それらを巧みに絡み合わせながら光と陰影を描き出していく。その様は、さながら映像のないドラマを音楽で展開しているかのようだ。

4本の楽器が互いに旋律という台詞を交わしながら、重なり合ってハーモニーという情景を描き出す。聴き手は、映像のないドラマに触発され、思い浮かんだ自分だけのシーンを心のスクリーンに投影していく。「雨女」「ほたる火」……そんな印象的なタイトルに感性を刺激され、次々とイメージがふくらんでいく。さらに弦楽四重奏より量感の増した弦楽合奏に管楽器が加わって、情景は多彩な変化を見せていく。96kHz/24ビット/5.0chで録音された音楽の表現力は、2chステレオの比ではない。弦楽器の響きが消え入る瞬間まで聴きとれる。そのゾクッとする感動は、ハイレゾ&サラウンドならではのもの。

土屋さんはサラウンドで録音され、聴かれることを前提にして曲を作っている。このような音楽作法はきわめて希だと言えるかもしれない。しかし、生の音楽はそもそもサラウンドなのだ。もうずいぶん前のことになるが、私が初めてプラハを訪れた折りに、プラハ城のスペイン・ホールで名ヴァイオリニスト、ヨセフ・スークが率いる室内楽団のコンサートを聴く機会があった。このホールの豪華さは有名だが、それ以上に響きの豊かさに感動させられた。スークがヴァイオリンを奏でると、その音色がホールの空間を心地よく響かせ、それが弾き手に戻っていく。スークはその響きを聴きながら次のフレーズを奏でていく。ああ、彼は響きと対話しながら弾いているんだ。

響きとの対話。それは音楽の根源的な要素だと思う。ヨーロッパのカテドラルでオルガンやコーラスを聴いたことがある人なら、その意味はすぐにも理解してもらえるだろう。たとえば音楽では楽譜の存在が欠かせないが、楽譜はあくまで2次元で表記された記号の集合体。少し論理が飛躍するが、2次元の楽譜には3次元で表現されるべき要素が組み込まれているはずなのだ。

そう考えるなら、音楽の録音や再生でサラウンドはもっと重視されていい。半世紀以上にわたってスタンダードとされてきた「モノラル~ステレオ」という既成概念に、私たちは慣れすぎてしまってはいないだろうか。楽器の配置やマイクロフォンの位置を周到にデザインしたサラウンドの表現力には計り知れないものがある。その領域に足を踏み入れ、未知の世界を探索する土屋洋一という若く鋭敏な才能にエールを贈りたい。

 

「Universe for Surround」

□曲目
[1]  E
[2]  Expectation ~期待~
[3]  Five
[4]  Ame Onna ~雨女~
[5]  Hotarubi ~ほたる火~
[6]  Last Song
[7]  Slow Hug
[8]  Sonata
[9]  Path in Winter ~冬の小道~
[10] Symphonic Suite for Surround Sound  : 1. Prelude
[11] Symphonic Suite for Surround Sound  : 2. Cori Spezzati Nova
[12] Symphonic Suite for Surround Sound  : 3. Path in Winter

□演奏者
[1]~[9]
Chisato Maehara (ヴァイオリン)
Shiori Takeda (ヴァイオリン)
Chihiro Tai (ヴィオラ)
Kazune Koshikawa (チェロ)
[10]
Shiori Takeda (ヴァイオリン)
Erina Sato (ヴァイオリン)
Akiyo Ueta (フルート)
Shiho Hamano (オーボエ)
Yoko Hara (クラリネット)
Atsuko Hirohata (ファゴット)
Sotetsu Mimura (ホルン)

□録音

M-01~09

2012 10-14  音響ハウス第一スタジオ、東京

M-10

2009 8-17,18,31  TYA A-st

M-11/12

Studio-T/marimo RECORDS

 

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